取引により損害・不利を被った場合、相手方へ損害賠償を行うことができます。とはいえ、対象の行為により少しずつ異なる規定がなされていますので、それぞれの違いを確認していきましょう。
損害賠償請求の種類とタイミング
原則
原則は、「滅失・損傷は債務者負担」です。以下はすべて例外です!
①不法行為責任 | ・不法行為:故意or過失で他人の利益・権利を侵害し、損害を与える行為 ・主な成立要件: (1)損害が発生していること (2)加害行為と損害の間に因果関係があること (3)加害者が故意or過失であること (4)加害者に責任能力があること |
②使用者責任 | 事業のために他人を使用する場合 →その被用者が第三者に加えた損害について、事業者は賠償責任を負う(過失責任) |
③工作物責任 | 工作物の設置・保存に瑕疵があり、第三者に損害を加えた場合 [原則]工作物の占有者が損害賠償責任を負う [例外]占有者が十分注意していたことを証明したとき →工作物の所有者が損害賠償責任を負う ※所有者は免責事由なし(=無過失責任)。その他責任者への求償は可能 |
④場屋営業者の責任 | ・場屋:公衆の来週に適する人的・物的設備(ホテル・飲食店など) ・場屋営業者:客から寄託を受けたものの保管義務を負う →不可抗力であることを証明した場合を除き、滅失・毀損時は債務不履行責任を負う ※「善管注意義務」をはたしていてもダメ! |
⑤運行供用者責任 | ・運行供用者:自己のために自動車を運転するもの(業としてかどうかは不問) ・自動車損害賠償保障法:他人の生命・身体を害したときは、損害賠償責任を負う ※対物事故の場合は対象外 [免除要件]運転者が注意を怠らなかった 第三者に故意or過失があった 自動車に欠陥・障害がなかった |
⑥労働関連の責任 | ・労働基準法:労働者が業務上負傷した場合→必要な療養・およびその費用負担必須 ・療養中…平均賃金の60%を支払い ・死亡時の遺族補償…平均賃金の1,000日分を支払い(労災給付の場合は免除) ・労働契約:使用者は、安全配慮義務を負う |
⑦商人間の取引 | ・商人間の売買:買手は、瑕疵発見後直ちに通知しないと、損害賠償請求不可 (すぐに発見できない場合は、引渡しから6カ月以内) ・保管義務:不要なものが届いても、保管or返還が必要 [原則]買主にて保管・供託(費用は後日売主に請求) [例外]現状維持難しいもの(食料品等)は、裁判所の許可を得て、競売に付す →買主が受け取り拒絶した場合は、売主が競売に付す ・平常取引している者からの契約・申込 →遅滞なく返事しない場合は、承諾したとみなされる |