詐害行為取消権は、債務者の詐害行為により債権者の債権が損なわれることを防ぐための権利。趣旨は債権者代位権と似ていますが、裁判が必要な点、行使対象が異なる点が債権者代位権と異なります。ここでは、特に行使対象についてケース別に確認していきましょう。

債権者代位権の目的と対象
債権者代位権とは、債権者の債権の保全を目的とした権利。債権者が債権を回収しようとしたときに、債務者がその債権を他の人へ譲渡したりすることを規制するものです。具体的に内容を確認していきましょう。
債権者代位権の目的と...
詐害行為取消権の目的と要件
①目的 | ・債権者の債権(金銭債権でなくてもOK)の保全 →債務者の詐害行為の取消・返還が目的 ・主観的要件、客観的要件が必要 |
②主観的要件 | (1)債務者の詐害意思があること (2)詐害行為について、受益者/転得者が悪意であること |
③客観的要件 | [対象] (1)通謀による、他債権者への弁済 (2)不動産の売却 (3)その他 [対象外](1)離婚による財産分与 (2)取消権行使時に、債務者の資力が回復している場合 |
詐害行為取消権の行使対象
・いずれのケースも裁判が必要
・相手方:悪意の者に対して行使
受益者 | 転得者 | 詐害行為取消権 | |
行使可否 | 行使対象 | ||
悪意 | 悪意 | 〇 | 受益者or転得者(債権者が選択) |
善意 | × | ※受益者への取消請求のみ | |
(不在) | 〇 | 受益者 | |
善意 | 悪意 | 〇 | 転得者 |
善意 | × | ||
(不在) | × |