抵当権の意義と果実への効力

不動産などは資産ですから、お金を借りるときに不動産を担保とすることができます。これを抵当・抵当権といいますが、この抵当権についても民法で対象や対抗要件が定められています。細かく確認していきましょう。

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抵当権の意義と果実への効力

抵当権の意義

①対象 ・不動産のほか、地上権/永小作権も設定可能
・土地と建物は別個独立の不動産とみなす
・付帯一体物も対象→借地権/増築部分/玄関の扉など
・従物も対象(抵当権設定時に、既に存在していたもののみ)
→畳/冷暖房器具など、不動産の効用を助ける関係にあるもの
債権者:元本+最後の2年分の利息に対してのみ、抵当権行使可能
債務者/物上保証人:制限なし
②抵当権設定者 債務者、または債務車以外の第三者(物上保証人)
③使用・収益権 抵当権設定者が保有→抵当対象の不動産収益も、弁済に回せるので合理的
④設定要件 当事者の合意
⑤対抗要件 登記(優先関係は登記順) ※日本は、順位上昇の原則を採用
→先順位の抵当権者が弁済完了すると、後順位の抵当権者が繰り上がる
⑥先順位者弁済時の
後順位者の権利
後順位者も、抵当権の実行が可能(利益遺失を避けるため)
・実行しない場合、後順位者の抵当権は消滅
→債務者視点:競売後、改めて抵当権を請求されたら苦しいため
・先順位者の弁済に全額使用されてしまった場合などは、実行不可

 

果実に対する抵当権の効力

天然果実 法定果実
①主な項目 野菜・果物など 賃料・利息など
②効力:債務不履行後に生じた果実 及ぶ 及ぶ
③効力:債務不履行前に生じた果実 及ばない 及ぶ ※物上代位性の観点

[要確認]法定果実(賃料等)は、実質不動産と一体不可分とみなされる→③でも抵当権対象とできる

抵当権侵害

・占有屋B(債務者Aとグル)が、抵当権の対象物件を不法占拠している場合
→原則:債権者Cは、占有屋Bを除外不可  ※不動産の使用収益権は、債務者Aが保有しているため
→債権者Cは、「抵当権侵害=抵当権に基づく妨害排除請求」であれば可能
=「抵当権の実行が妨げられている」という切り口でアプローチ